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2011/06/10

ヤミノリウス小説 どりー夢なし

えー・・・
前のがぁ ヤミノリウスカテなのにヤミノが1ミリも出てこねぇって、ひでーなと思ったんでぇ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

sageたい。

【本編最終回ラストシーンのヤミノリウス視点エピソード。オリジナルに忠実設定であを感激! びっくりするほどエルドランがまともです! わたしの中にもこんなエルドランが残っていたんですねぇ。こんなエルドラン、もう二度と出番ないよ】

砕けた地球は魔王の死とともに復元され、遠く太陽に落ちたはずのガンバーチームの面々も召還された。彼らにほどこした呪いは残滴もない。勝利に沸く人間たちを横目にヤミノリウスは空を仰いだ。青い…。以前となんら変わらず青い。尊大なほどに。
光の力は一瞬でこれほどのことを為すのか。地上に破壊と混乱を。しょせんわたしごときではとうてい果たせぬ役目だったか・・・。
『・・・・・』
ヤミノリウスはそっと群集に背を向けた。
「! どこへいくのヤミノさん!?」
脇にいた女が見とがめて声をあげた。まあ、これまで戦いを挑み続けた相手に、何も言わずに去るのは礼に欠くというものだろう。ヤミノリウスは振り返り人間たちの視線を引き受けた。
「すべては終わった。大魔界の魔導士ヤミノリウスは、今日を最後に姿を消す。もうお前たちの前にこの姿を現すことはないだろう」
「なにを言うのヤミノさん!」
当然だろう。もはや自分の存在する理由もない。
「さらばだ!ガンバーチーム! ほんとうに見事な戦いぶりだったぞ」
ヤミノリウスは地を蹴って空中へと飛んだ。
狼狽する女が取り乱して追いすがり、名を呼び続けている。
"亜衣子さん" か。この者にもなにかかけてやる言葉があるべきだろうかと目を向けてはみたが、
(・・・・・・・・・)
どんな言葉もその情熱の報いにはなりえないと思い至り、無言のままその場を後にした。

 

 

どこへ行くか。

地上に来てからこのかた自分の居場所などどこにもあったためしはない。だがこれほどよすがなく頼りないこともなかった。
照りつける陽の光が自分を追い立てるようだ。空にはいたくない。
ヤミノリウスは地上へと向いた。どこか人間のいない場所は。

とりついた義躯のおかげか、それとも一度融合した魔王の残滓の影響なのか、この身がまだ在ることが不思議だった。大魔王なくして自分が単身で存在し続けられるはずがない。自身で魔界獣を生み出してきた経験から、それは確信していた。
"死"という概念を彼らは持たなかったが、消滅するということが喜ばしいものではないという感覚はあった。ならば行く先はあそこしかあるまい。
大魔界と人間界を繋ぐ唯一の場所…。封印の岩の祠へヤミノリウスは向かった。
墓とでも呼ぶべきものになったそれは、相変わらず二界の扉を固く閉ざして鎮座している。帰れるとは思っていなかったが、故郷に近いここはいくらか魔界の空気が感じられる気がした。
・・・気がしただけではあるが。

『ゆけ!ヤミノリウスⅢ世、人間界を混乱におとしいれるのだ!!』
ここに遣わされた日のことを思う。
こんな結末を迎えるとは誰が予想できただろう。まさか、魔王を失うとは。
いや、自分が魔王に反逆するとは。

「♪たまにはいいことしたいけど 魔界の法律破れない
物寂しげにくちずさんで、今日自分のしたことを思い返す。崩壊した街の光景。ガンバーチームの呪いを解いたこと。ニンゲンの女を救ったこと… どれもこれもが信じられない。
「・・・ ガンバルガーに乗っちゃったぁ……」
へたんとヤミノリウスはその場に尻をついた。
自分は後悔しているだろうか? 望んだ結末でないのは確かだが、あのままゴクアークに従っていても夢は叶わなかったのだ。どちらがよかったのかと言えば、これでよかったのだと信じたい。
こぷ、とフラスコの中に泡が湧いた。ひび割れた箇所から漏れているのだろう。魔王から受けた傷はヤミノリウスでは直せなかった。魔王の手による破壊のすべてを修復したエルドランも、魔属の傷までは癒してくれなかった。
「けちな男だ」
口を尖らせて悪態をつくと封印岩に白雷がひらめき、光が白い人影をかたどった。
「言ってくれるな魔導士」
「わーっ!?!?」
まがいようもなく、エルドランそのひとである。
「お前を討つべきなのかどうか、正直迷ったのだ」
ヤミノリウスは身構えたが、エルドランは静かに岩に腰を下ろした。戦う意志はないようだ。
「お前の最後の尽力は戦いを勝利に導くのに大きく貢献した。それについては私は礼を言ってもいい。報いて大魔界へ送り返してやるかとも考えた…。
だがお前がこれまでしてきた悪行を思うと、何のとがめもなしに故郷へ戻すのはやはり釣り合わない。人々の平和は日々魔界獣におびやかされ、大きく傷つけられたのだから」
エルドランが岩に足をかけ、ひと呼吸してヤミノリウスを見すえる。
「ゆえにこの扉は開かれない。もう二度と。」
凛然とした宣言にヤミノリウスは息をのんだ。
「私を倒せば別だが」
その言葉の真意は計りかねた。単に事実として告げただけなのか、挑発なのか。
魔王にも匹敵した相手に一介の魔導士が、万にひとつも勝ち目はあるまい。奇跡的に勝てたとして、魔王不在の世界では自分の消滅は免れないはずだ。いずれにしても生きる道はない。
名に恥じぬ最期を迎えるなら・・・
「キサマと戦って散るのがスジであろうかな」
ヤミノリウスは立ち上がってエルドランに対峙した。その無謀にエルドランは失望する。
「そんなに命を軽く捨ててくれるな…。助けた甲斐がない」
「!」
自分が消滅しないのはエルドランの仕業だったのか。
ヤミノリウスにとってそれは感謝というよりは屈辱的なものだった。
「誰かの為に身を尽くすことは美しいと私は思う。だが捨て鉢に命を粗末にするのは同じではない。せんに"好きにするがいい"とほざいたか。寄る辺をなくすとそんなものか? お前の価値は? 魔王は見限ったがお前を愛した人間もいるのだぞ」
あの女か。
あれはなぜこのわたしをそんなにも欲するのだろう。ヤミノリウスは女の顔を思い出すと、最後に言葉をかけなかったことはやはりちょっと悪かったかなと思った。
「お前を生かしておいてやりたい。次の魔王の座に即こうというなら私は全力で討ち滅ぼそう。だがこの世界の平和を乱す意志がないのなら、私の加護のもと、人間界で暮らすというのはどうだ」
驚いた提案だった。
「わたしを見逃すというのか?」
「違う。光の側へ迎える用意があるという話だ」
エルドランが岩から降り立ちヤミノリウスに歩み寄った。
「せっかく救った地球だ、味わってはどうだ。ゴクアークにたてついてまで護ったのだろう?」
手を取ろうとするエルドランを拒んでヤミノリウスがすっと一歩下がる。
地上で暮らすのはそれなりに興味深いことではある。この街は楽しいかもしれない。しかし・・・
「いかに落ちぶれようと、お前に下るわけにはいかぬ。わたしが魔王に背いたことは目的の相違によったものであって、けして光の側に立ってのことではない」
毅然と見返す目には強い意思が宿っていた。
「ならばこれは罰としてお前に科そう。私の世界を乱した罪と己が主君を裏切った罪にあがない、ヒトに堕ち 地に縛られて生きよ」
エルドランはヤミノリウスの腕を掴むとぐいと引き寄せた。
「これは裁きだ。偉大な竜の名において。讃えよ、その名を」
エルドランがヤミノリウスの口から答えを求める。
ヤミノリウスは顔をそむけて沈黙した。
観念するほかない。
もう自分の運命はエルドランの手に握られている。かつてそれを握っていたはずのゴクアークが今はないことを、ヤミノリウスははっきりと感じた。 これがあの行為の結果。自分の反逆の結末ならば・・・。
「お前がこのさき主とする名を言え」
エルドランはやさしく静かに、なだめるように返答をうながす。
ただ名を呼ぶだけと言うなかれ。今のヤミノリウスが口にするには重すぎる。あまりにも多くの感情がある。呼んでいいのだろうか。この自分がそう口にして許されるのだろうか。
うつむいたまま、口の中を切るような思いでやっと一言、…こみ上げる嗚咽とともに彼はようやく答えた。
「_____________様。」
たちまちエルドランはヤミノリウスを抱き寄せその頭を胸に抱きすくめた。
「どちらの名でも良かった。お前がその選択をしたことに私は敬意を示そう」
そう言うとエルドランの体は発光し、ヤミノリウスを包み込む。
「っ!!」
ヤミノリウスは体をなにかが通り抜けてゆくのを感じた。いや、依り代が引きはがされているのか。フラスコと、薬ビンと、ニンゲンの骨に暗幕・・・。すがるものがなくなり頼りない気持ちになったが、まばゆい光はあたたかく、不思議な幸福感があった。天使とかそういうものが与える力だろうか。以前にもこんな感覚を覚えたことがあったような・・・。
体がふっと軽くなり、次の瞬間足が地面に沈むような重さによろめいてとっさに手をついた。目の前に出てその身を支えたのは、人間の手だった。左手には、魔竜の指輪が。
「……!」
闇野は辺りを見渡したがエルドランの姿はもうない。
ゆっくり立ち上がると足にずしりと体重を感じた。
はっきりと違和感があった。
目に見える眩しさも、肌に感じる風も。体の中を流れる血の熱さ、胸で打つ鼓動。
ドクン・・ドクン・・ドクン・・ドクン・・
人間の体だ。変身したのではない、本物の体……。
闇野は自分の胸に手を当てて脈打つそれをしばらく感じた。
ドクン・・ドクン・・ドクン・・ドクン・・
  ドクン・・ドクン・・ドクン・・ドクン・・
ドクン・・ドクン・・ドクン・・ドクン・・
  ドクン・・ドクン・・ドクン・・ドクン・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。うるさいannoy
唐突に闇野は不機嫌になった。
「どーーなっておるのだっ。いつまでたっても止まらんではないか! なんだこれはっ!!」
いらいらとして暴れてみると、それはますます激しく大きくなってしまった。
「うをぉぉっ!?! うるさいっ うるさいっ うるさーいっ!!」
彼が自らの心音に慣れるには今しばらく時間がかかりそうだった。

 



 
青空町は今日も明るくにぎやかだ。
あれほどの危機が襲ったあとにもかかわらず、あっけらかんと、日常が続いていた。勝利を祝うでもなく、省みるでもなく。戦いの前と変わらない・・・ しかし、何事もなかったことにはならない。この日々は以前と全く同じではない。少なくとも、亜衣子にとっては。
亜衣子はショーウィンドウに立ち止まると、破れた写真を取り出しそこに写る人を思った。ヤミノリウスの暴露によって手ひどく失恋した時よりも喪失感は大きい。やさしさを残したまま姿を消されては、この未練をどう片付ければいいのか…。
会いたい。もう一度。
住む世界が違うのなら、せめて別れを交わしたかった。こみあげる涙をこらえてマネキンを見上げる。
それは思い詰めたゆえの幻だろうか。
心が見せる夢のかけらだろうか。
まばたきの間に消えるならまばたかなければいい。振り向いて消えるなら消える前に掴めばいい。
(闇野さん…!?)
そこに、闇野は立っていた。いたずらっぽく笑った顔に亜衣子は思わず駆け出した。
「闇野さんっ・・!!」

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コメント

エルドランがすげーまともでかっこいいwww
こんなエルドラン見たことないわ(*´д`*)ハァハァ
ヤミノさんのセリフも、あの声ですべて脳内再生されるくらい違和感なさすぎで素敵すぎます!
もう公式設定にしてもいいんじゃね?ってくらい素晴らしいです!
良い小説が読めて幸せですヾ(*´∀`*)ノ

投稿: miya | 2011/06/11 00:44

まともだ……sweat02 驚くほどに…。

もう、これはどう見ても公式でしょ…(^^;)

てか、こんなのあをさんの作品じゃない!(注:褒めてます)

それにしても、以前の漫画以上に幸せ度高いですね。素敵です(^-^)

投稿: GEM | 2011/06/11 10:27

お二人ともありがとうございます。
エルドラン、面目躍如といったところです。
ほんと私らしくない。

投稿: 野山あを | 2011/06/11 12:32

はじめまして。ヤミノ様の素敵サイトさんが少ない中こんな素敵小説に出会える幸運に感謝。勝手ながら素敵小説・漫画が更新されるのをお待ちしております。

投稿: 田舎在住小心者 | 2011/06/28 01:25

ありがとうございます、わたしにもその幸運を分けて下さい。
むしろあなたが何か書いてわたしを幸せにしてっ!!!

投稿: 野山あを | 2011/06/28 10:42

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