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2010/09/05

ゴクエル小説 ちょっぴりゴクヤミ

【バーサーカーな血祭り基地外のエルドラン(あをデフォルトw)が落ち込んでるのでゴクアーク様に励ましてもらう話】

停戦中とはいえエルドランが先触れもなしに大魔界へ下ってくるとは滅多なことではなかった。しかも伝令によれば単身・・・。よほどの緊急か−−−"お忍び"か。
まあ、後者なのだろう。
(このわしを呼びつけるとは)
立場上魔王に謁見を乞い願うまねはできないうえには、当然ゴクアークのほうが出向くことになる。不承不承、ゴクアークが立ち上がった。
「お一人で行かれるのですか…?」
「むこうが一人だと言うなら礼はつくす。Ⅲ世が戻ったら"待て"と伝えておけ」
どうせ待たんだろうが。


かくして王都のはずれ、針の山のすそにその白竜はいた。
戦線では鼻持ちならない威風のていだというのに、今日の姿態はみるかげもない。長い首を身を抱くように巻き、弱々しくうずくまっている。
「魔界くんだりまで自己逃避か。こちらの迷惑も考えてもらいたいものだ」
ゴクアークが隣りに降り立ったが、エルドランは顔もあげない。
「地上で争いがあったのか?」
ぼそぼそ、とエルドランが何かつぶやいたが聞き取れなかった。
「何だ?」ゴクアークが顔を寄せる。その様子はとても宿敵同士には見えなかった。かたや暗黒の化身、かたや光の守護者。その両極同士の密会…。したの者の目に入れば士気を下げかねない光景だった。
まあ、ゴクアークにしてみれば目撃者など片端から始末してしまえばよいだけで憂慮などいりはしなかったが。

「もう戦いたくない」
エルドランはそう吐露した。
ジャーク帝国の侵攻を前に逃げてきたのだ。ライジンオーすらかなぐり捨てて。
嫌だ。太古から変わらない。戦いから逃れられない。もう嫌だ。
「……代わりにこどもたちを戦わせている…」
それがもっとも嫌だった。
ゴクアークは下らぬことを聞いたとでもいうように笑いを漏らした。
「こどもらが戦いの味を知るのを楽しむことにした、と?」
「愚弄するなキサマっ!!」
エルドランが怒りをあらわに顔を上げた。守るべき者をたがえるほど落ちてはいない。
「なら何をしにきたエルドラン、わしに慰めを期待するのか?笑わせるぞ」
「・・・・・・。」それはそうなのだが。
相手は魔王だ。ただ、自分をさらけだせる唯一の相手でもあった。
ゴクアークには見られているのだ、血に酔った本性−−−ひた隠している自分の素顔を・・・。
「戦いたくないだと? お前が戦いに倦むはずがない。
 おおかた、戦火に胸躍る自分に嫌気がさしたとでもいったところだろうが」
言い当てられた。
というより期待通りだったというべきか、ゴクアークなら分かってくれるだろうと思っていたのだった。いつのころからか、エルドランは自分が光の側でいることの違和感に苦しんでいた。今回耐えきれずここへ来てしまったのだ。


目を伏せるエルドランを横目に腰を下ろす。
(もう長い付き合いになったか…)
サイアーク・レツアークと共に戦った際の光景は忘れがたいものだった。
死屍累々たる惨禍の中、立っていたのはニンゲンひとり。わが目を疑った。あの目、あの表情。あれは"恍惚"か。魔界でもあんな目をする者はいない。殺戮にあんな陶酔を見せる者はいない−−−。

白い狂気。
. .
それがゴクアークを向いた。
ゴクアークはこのとき初めて恐怖を知ったと思った。あいつが手にしているのは何だ。あいつが踏みしだいているのは何だ・・・!
首を振るとヒト型のそれはふくれあがり、竜体となった。
爆煙のごとく身にまとうは まばゆい闇。白銀の体は純然とけがれないのに、かっと開いた口は血にまみれ−−−−。

「ちっ…!」ゴクアークが舌を打つ。
敗北の日など思い出してしまった。不愉快な。


エルドランもまた、その日のことを思い出していた。
といっても、『なぜキサマがそちら側なのだ』という声で理性を取り戻したところからしか覚えてはいないのだが。あのときゴクアークの声で目が覚め、自分のしていることにおののいた。
が、止められなかった。
魔王の流す血に興奮を抑えられなかった。愉悦に顔が歪むのがわかった。
(ダメだ。
 これ以上は。)
そう言わざるを得ないほど、恐ろしくも抗しがたい欲求をはっきりと感じた。
(わたしは・・・それはダメだ・・・っっ)
心では叫んでいた。だがそのときの自分の笑みと魔王のそれとでは一体、どちらが凄惨だっただろうか。
そんなエルドランに、血に染まりながら艶然とゴクアークは言ったのだ。
「わが側へ来い、エルドラン−−−!」
その言葉に自分は堕ちるのかとすら思われた。
だが"闇の誘いは甘い" "そそのかされてはならない"と語り説いてきた自分が、まさか魔王の言葉に耳を貸すわけにいかない。ふざけるな…!
そのプライドが狂気に歯止めをかけた。踏みとどまれたのは皮肉にもゴクアークのおかげということになる。

あれから、自分で戦うのが怖くなった。
そして今日戦って、確信した。
「もう嫌だ…」もう一度、エルドランはつぶやいた。
「いいではないか存分に戦えば−−−。"正義のため"の暴力は許されるのだろう?」
「"自分のため"だ。許されない…」
「なぜ? "自分(おまえ)"が"正義"だろう?」
「!・・・・」
うっかり、その言葉に救われてしまった。
ゴクアークをまじまじと見上げた。こうしていられるのに、こうして隣りにいられるのに、なぜ敵同士なのだろう。だれが世界を光と闇に分かったのだろう。
手を伸ばしかけて…ため息をつき思いとどまった。
だがゴクアークは目ざとくそれを見とがめ、「いいぞ?」とエルドランに声を掛けた。
触れてもいいと。
それは…お互いの身を灼くことになるのだが。
エルドランがゴクアークに指先で触れた。じり、と痛みが走ったがかまわずそのまま手のひらで肌をなでた。火傷をした。
「・・・・・。」無言でその手のひらを見つめる。耐えられないことはない……。
ゴクアークもまた同様に火傷をおっていたが、余裕を見せて笑ってさえいた。
甘えたい、という衝動のままに、エルドランはゴクアークに身をあずけた。触れ合った箇所がたちまち白煙をあげたがそれでもあえて灼けるままにまかせた。ゴクアークが頭を抱いてきた。いままで感じたことのないやすらぎを覚える。
強く抱きしめるように、ゴクアークの首がエルドランの体を取り巻き包み込んだ。
炎を上げるかと思うほど強く、熱く・・・。 灼熱の抱擁に身をゆだね、異常に気がついたのは少し遅かった。「!?」身じろぎをしようとして、動けなかった。
「…放せ、ゴクアーク・・・」
ぎり、と締め付けられた。先に触れていた部分が灼けただれるのを感じ身もだえたが、少しも縛りが緩まる気配はなかった。身体中が熱い。悲鳴を上げそうなほどになりながら、エルドランが渾身で暴れる。
「放せっ! 放さないか!!」
身をよじる声に恐怖が混じりはじめたところでゴクアークはエルドランを解放した。
「魔王に心を許すとは愚かだぞエルドラン…」
くくくとゴクアークは笑った。どこまでも魔王は魔王だ。自分は何を期待したのだろうか。身を焼かれた痛みにエルドランは目が覚めた。
「停戦中だったかな。まあ、わしも火傷をした…」
お互いさまだというか。
「帰れエルドラン。お前がいる場所はここにない。わしが欲したのもそんな竜ではない」
戦場に躍るお前が好きだ、と言ってゴクアークはエルドランを見送った。その傷が癒えるまでは戦いには立てぬだろうが、とも。


城へ戻る途中、なにか細かいものが勢い良く飛んで近づいてきた。
「ゴクアーク様!ゴクアーク様!そのお怪我は…!?」
ヤミノリウスⅢ世…やはり待ってはなかったか。
「待っておれと言いつけたはずだが、聞かなかったか…?」
「はいっ! いいえ…?いや、いえそのぉ…」
「わが命とあってもきかぬのはどういうことなのだろうな?」
「す…すみません… あの…お怪我の手当を・・・」
なにはなくともまずわしのことか。思わず笑みがこぼれてしまう。
絶対服従なだけではなく、反抗や対立をみせるのでもなく、自分の心に従って動くこの魔界獣は…小さいながらもじつに面白い出来だ。
そういえばこれもヒト型か。
闇の側にあって心を持つものと、光の側にあって闇を宿すものと、より不幸になるのはどちらだろうか。
ヤミノリウスに指を差し出すと喜んですがりついてきた。と思ったが、どうやら治癒魔法を試みているらしい。
(ういやつ… それは治らんだろうよ)
エルドランの光の力…いうなれば浄化の効果による傷だ。闇の力である魔術が効くはずもない。エルドランのほうもまた、不浄の火に穢れた体はそう簡単に清めることは出来ないだろう。
「ゴクアーク様、本当に一体…」
心配でどうにもならないというふうだ。
「案ずるな、これしきじき治る。行くぞ」
「は、はいっ…!」
光の戦士エルドラン。地上へ侵攻する際には、お前も戦うことになるだろう とゴクアークは言った。
ゴクアーク様にこんな傷痍を与え絶対に許さないとヤミノリウスが息を巻く。
その時は、もう一度見られるだろうか

あの 究極の闇を−−−−。

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