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2005/08/02

姑獲鳥の夏だ

映画「姑獲鳥の夏」を見に行ったのは先週ですが。
うん、普通にだめだった。

『見ているのに見えないものもあるのだろう。』

スズムシがうるさいです。この数が鳴くとすでにりーんりーんとは聞こえず、高周波のうねりです。しかしふと気づくと外のセミも同様に鳴いている。セミの声はいままで聞こえなかった。気づいてからは2倍うるさい。

見えているのに見なかったものが突然見えるようになったら。
怪奇なことが、あばかれるその瞬間。
見えていたのに見なかったのか。見ていたと知っていたは別なのか・・・。


ぼくの部屋には白い、ブラスチックの植木鉢がある。
かつては大好きな「飛行草」という植物が植わっていた。蛾にそっくりな葉をつける、多年草だ。
今は何も植わっていない。だけれど、ぼくは去年からずっとこの植木鉢をつねに温度管理し、水をやり、気にかけてきた。この土の中には、スズメガが眠っているからだ。

DSC03159

冬、一緒に越冬させるはずのカマキリが孵ってしまった。たとえ玄関でも屋内は虫に暖かいと知り、室内に置いておけなくなった。”外に出す”。 どんなにそれが不安だったろう。彼(または彼女)は、もしかしたらぼくが知らないうちに羽化して飛んでいってしまうかもしれないのだ! 真冬に羽化することはないと分かっていても、ぼくは網やカゴのなかにこの植木鉢をいれられないものかとたいそう心砕いたものだった。

結局、直射日光と凍結防止のため素焼きのツボに入れてふたをした。ふたをすれば確かに逃げることはないだろうが、狭いツボのなかでは羽化するのに十分なスペースがない。羽化ったら死んでしまう。真冬に羽化することはないので心配無用なのだが、それはそれは不安でしかたがなく、ぼくは毎日のようにふたを開けて中を確認していたものだった。

ベランダでの越冬。カイコの卵とカマキリの卵とスズムシの卵と一緒に、ときどき水をやりながら、ぼくは夏が来るのを楽しみにしていた。

3月。春が来る前にカイコが孵った。
kurosima

4月。越冬体勢をやめて部屋にすべてとりこむ。

5月。スズムシが孵った。
suzumushi

6月。カマキリが孵った。
kama_huka1

7月…。
スズメガはどうしたのか。
生きているのか死んでいるのかもわからない。蛹化がぶじ終わったのかもさだかでない。もはや中にいるのかどうかすらあやしい。

『なあ京極堂、10か月もの間 蛹でいるなんてことがあるだろうか』

8月。ぼくはついに、この植木鉢の土をあけることを決意した。

DSC03534

ひからびた屍骸があるのを覚悟していた。前蛹のまま死んでいる可能性も覚悟出来ていた。あれほど立派な虫を死なせてしまった罪悪感を、ぼくは受け入れようとしていた。でも、この期に及んでなお、ぼくはつややかな蛹がそこに眠っていることを期待もしていた…。

DSC03538
DSC03535

殻だ!?

何もない! 羽化っていたというのか!? まさか!いつ?!
冬の間、ツボのふたは閉められていた。春には開けたが、それでもまだ羽化するような気温ではない。
とりこんだあと部屋の中で? これだけ巨大な蛾が部屋で羽化って、見ないということがあるだろうか? いやあり得ない!!

では どこにいったのか!!!

『きみは見なかったのか? この事件はとっくに終わっている。』

この春、ぼくの部屋で、ある怪奇な出来事があった。
あの無数のハエはどこからやってきたのか。密室のはずのこの部屋で、どこからハエはやってきて、どこへ蛾は消えたのか!
真実は最初からそこにあった。だが 見 て い な か っ た のだ!

蛹の殻のわきのかたまりにご注目いただきだい。
DSC03537
フンの塊だと思ってしまったんだけどね。あはは、ははははっ・・・! 全てを思い出したよ…!! このスズメガの幼虫を捕ったときのあの戦慄を……! 土に潜ってからしばらくそれを恐怖していたことを…!

ヤツは・・・ヤツは・・・
DSC03141
全身寄生痕だらけだった!

うああああああああぁぁぁ!

『関口くん。この世には、不思議なことなどなにもないのだよ。』

ああ、知ってたさ! 分かってたさ! ハエが出たとき、これを疑ったよ! 死んだ蛹にウジがわいたんじゃないかってな! でもハエが土の中に産卵できるわけないだろ?だからその説は却下されたんだ。そのとき寄生のことを思い出さなかったのかって?
思 い 出 さ な か っ た よ !

蛹がカラなのを見てもなお思い出さなかったからな! 記憶から抹消だよ! 虫が湧くのをびくびくしてすごしたことすら記憶にないぜ!! ああでもな!記録にはのこってるぜ! こうして画像があるのが証拠、日記もつけてたからなぁぁぁぁ!!!


ま そういうわけで。ピエロ並みに長い前ふりしてみましたが、スズメガは寄生バエに最初からやられていました。蛹化し、私の献身的なお世話のおかげで無事越冬したものの、春先に体内のハエに食われ、5月22日にハエとして羽化したと。
私が死なせたんじゃなくてよかったーとは思うけれど、残念だったなぁ〜。

でもね、このハナシは解決したけど 去年湧いたウジは解決されないのよー。
なぜコオロギのケージにいて無事蛹化できたのか、なぜカーペットの下に潜り込めたのか、なぜ畳の上で蛹化していたのか…。
たばすてうぶさば。たばすてうぶさば。

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